誰にとっての最適化? - Gコードの場合

デザインはわがまま→思いやり
川崎和男 『ドリームデザイナー

最近はユニバーサルデザイン(UD)という言葉を良く耳にするようになりました。はてなキーワードの説明では、『ユニバーサル=普遍的な、全体の、という言葉が示しているように、「すべての人のためのデザイン」を意味し、年齢や障害の有無などにかかわらず、最初からできるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすること。』となってます。つまり、全ての人にやさしいデザインということになるでしょうか。
この「ユニバーサル」つまり「全ての人に」という部分は非常に重要な考え方だと思いますが、やはり人によって得手不得手がありますので、ものによっては、どうしてもこっちを立てればこっちがたたずといった状態になります。こうなると、どこを立てるか、つまり、どんな評価関数でもって最適化をかけるかということが重要になります。

さて、こんなことを書いているのは最近Gコードの構成についてなるほどーっと思ったのがきっかけです。

Gコードといえばテレビ番組の予約等で使われる数桁の数字。新聞のラテ欄やTV雑誌でおなじみですね。といっても、最近は、EPG搭載のデジタルTVやDVD/HDDレコーダが普及して、あまり使われなくなった感がありますが。さて、Gコード、原理的には、数文字の数字に、番組の開始・終了日時、チャンネル情報を符号化したものになっています。ですので、この数字を対応のVHSビデオやDVDレコーダに入力すると、これら予約録画に必要な情報に変換して、予約録画ができるという仕組みです。

はてさて、このあたりまでは使われたことがある方ならご存知かもしれないのですが、今回私がなるほどと思ったのは、この数字の符号化方法にあります。Gコードの数字列は可変長コードになっているのですが、この数字列、ゴールデンタイムの番組、つまり視聴率の高そうな番組程短くなるように符号化されているのです。いわゆる、エントロピー符号化というやつです。時には、一文字のこともあるそうです(※1)。知ってました?
つまり、Gコードの符号化設計における評価関数はユーザーの予約頻度なんですね。

478850362X で、ここでふと思ったのは、「では、今のGコードの符号化って本当に使われ方に対して最適化されているの?」ということ。実際の仕様は公開されていませんが、個人で解析されている方の情報等をみると、結構こったことになっているようですが、そもそもいろんな趣向を持った人がいるのに、最適化ってどうするのだろうという疑問。
まず単純に考えると、時間帯や番組長、チャンネル等で予約頻度順に符号長も短くなるようにするという方法。つまり、世の中の全予約の平均長を短くするという方針。単純に考えるとこうなるのでしょう。多分Gコードもそういう考え方がもとになっているのだと思います。
しかし、よく考えれば、Gコードを使う人って機会慣れした若者から不慣れなおじいちゃん、おばあちゃんまでいろいろおられるはず。となると、「各番組の予約頻度」×「その番組の視聴者層の機械慣れ具合」といった重み付け後の値でもって最適化を考えないといけないのかとかも考えられます。
いやいや、そもそも機械慣れしているなら少々数字が多くても大丈夫だから、この層は一旦おいておいて、おじいちゃん・おばあちゃん層の番組の最適化を進めるというのもひとつの考え方としてあるだろうとか。。
考え出すとこれがなかなか奥が深い。

プログラミング時には、アルゴリズムの性能指針として、平均オーダーと最悪オーダーが使われます。平均と最悪、どちらが特に重要かは、ユースケースによってかわってきます。この考え方は、ユーザビリティを考える時もこれは同じ。先の例では、全番組予約頻度で符号化長を調整するのは平均値の最適化。おじいちゃん・おばあちゃん優先で最適化するのが最悪値の最適化といえなくもないでしょう。
自分自身ふりかえると、大抵の設計時には、ついつい平均値優先になっていたなぁという気がします。きっと、その方がわかりやすいからでしょう。

冒頭の「デザインはわがまま→思いやり」というのは、デザインディレクター 川崎和男氏の言葉。『考具―考えるための道具、持っていますか?』という本の中で紹介されていたので知ったのですが、とても大好きな言葉です。ユーザビリティは、単純に数学的に最適化できるものではありません。最後のまごころ忘れちゃいけませんね。

※1 2005年6月1日放送のNHKきょうの料理では、一部新聞でGコードが「1」と掲載されたため、同番組の出演者が珍しく「当番組をぜひ見てほしい」と宣伝した事もあるんだそう。

【関連書籍】
誰のためのデザイン?―認知科学者のデザイン原論 (新曜社認知科学選書) ドナルド・A. ノーマン
ユーザビリティエンジニアリング原論―ユーザーのためのインタフェースデザイン ヤコブ・ニールセン
アフォーダンス-新しい認知の理論 佐々木正人
暗号解読 上巻 (1) (新潮文庫) サイモン・シン 青木 薫

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【関連リンク】
Gコード解析(analyzing VCR-plus code)
ユニバーサルデザイン - コクヨ
Webデザイン・Webデザイナーのまとめサイト | Webデザインに優れたサイトのリンク集
ヤコブ・ニールセンの考えをまとめたユーザビリティガイドライン
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