フェルミのパラドックス

この世にはわれわれだけだと思うこともあるし、そうではないと思うこともある。いずれにせよ、そういうことを考えるところがすごいことだ。

宇宙の歴史は長く、そうして宇宙は限りなく広い。とすれば、地球外にも知的生命体(ETC)は存在するはずだ。でも、その気配はない。「みんなどこにいるのか?」二十世紀最高の天才物理学者エリンコ・フェルミは問いました。

479176126X 最近読んだ「広い宇宙に地球人しか見当たらない50の理由―フェルミのパラドックス」は、この「フェルミのパラドックス」について書かれた本です。本書のあとがきにもありますが、宇宙人がいる、いないという話になると、「いないはずがない」「いるはずがない」という二者択一論になりがちです。勿論、いるかいないかのどちらかしかないのですが、そういってしまうと議論が終わってしまいます。本書は「はずがない」ではなく「なぜそうなるのか」をいろんな観点、宇宙論から物理学・生物学・数学から社会学・SF的発想までを総動員して、その理由について科学的に検証しており、知的好奇心を刺激する一冊でした。

私自身は「地球や人類が特別と考えるのはおかしい。宇宙は限りなく広いんだから、他にも知的生命体はいるはずだ。(地球に来ているとかいうのは別にして)」という考えでした。いわゆる平凡原理というやつです。しかし、実際宇宙は「限りなく」広いわけではなく有限です。時間的にも空間的にも(勿論、現在の宇宙論が正しいとしてですが)。よって、ETCの発生確率が、宇宙の大きさを相殺して余りあるほど低ければ、ETCが地球外に存在しないと考えるのが自然です。雨の中を走って、一滴の雨粒にもあたらない可能性も0ではないでしょうが、事実上0です。では、ETCの発生確率はどれくらいなのでしょうか。

宇宙の大きさといった規模になると、ついついその大きさに圧倒されて、考えることを放棄してしまいがちです。しかし、既存の理論や知識でも、それらを丁寧に積み重ねていけば、ある程度妥当な推論を導けることがあります。宇宙の神秘に思いを巡らす時もそうですが、仕事における工数見積もり等でも、似たようなことは言えるかもしれません(^^;)。

その他、この本の中では、フェルミ推定やデルタt論法などの考え方、なるほどといった論理の展開方法等も紹介されており面白いです。

【関連レビュー】
情報考学 Passion For The Future
Amazon

【関連書籍】
宇宙に隣人はいるのか ポール・デイヴィス
もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅 ニール.F.カミンズ
奇妙な論理〈1〉―だまされやすさの研究 マーティン・ガードナー
人はなぜエセ科学に騙されるのか カール・セーガン


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フェルミについて

フェルミフェルミ(fermi,記号f)は、長さの単位。素粒子、原子核の分野で用いられる。国際単位系の10-15メートル=1フェムトメートル(fm)と同じであり、現在ではフェムトメートルを使用することになっている。イタリア(後にアメリカ合衆国に亡命)の核物理学者エンリコ・フ

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